土地を相続する場合、「規模格差補正率」を用いて相続税や贈与税が軽減される、地積規模の大きな宅地の評価という制度があります。
制度について概要や要件、適用の注意点などをご紹介します。
不動産の相続が予定される方など、ぜひこの機会にチェックしてみてください。
不動産の相続税などが軽減される「規模格差補正率」とは?
「地積規模の大きな宅地の評価(規模格差補正率)」は、2018年から導入された新しい制度で、前年に廃止された「広大地」の代わりに新設されました。
地積規模の大きな宅地とは、分かりやすくいうと"面積の広い宅地"です。
地積規模の大きな宅地と認められた土地は、評価額を出す際に「規模格差補正率」が乗算され、相続税か贈与税が軽減されるのがメリットです。
規模格差補正率とは、同一地域にあって"面積の広い宅地"ほど利用しにくい事情を考慮して、補正します。
下記の要件を満たすと適用できます。
●地積が首都圏、近畿、中部で指定された三大都市圏の地域で500平方メートル以上、三大都市圏以外のエリアは1,000平方メートル以上である
●路線価地域で「普通商業・併用住宅地区」か「普通住宅地区」のいずれか
●指定容積率が400%未満、東京の特別区では300%未満である
相続する故人の不動産がこれらをクリアしている場合、適用を検討します。
一方、大規模工場用地であったり、市街化調整区域に所在していたり、都市計画法の用途地域が工業専用地域に指定されている場合などは、対象外になり規模格差補正率も適用されません。
不動産の相続税が軽減される「規模格差補正率」の適用に関する注意点
規模格差補正率により相続税などが軽減される地積規模の大きな宅地ですが、注意点もあります。
まず、評価する不動産の単位は、1筆ではなく、1画地で評価されます。
地積要件でも同様の単位が用いられるので、たとえば2筆の土地も、全体の面積で1つの土地とみなされます。
ただし相続で土地を遺産分割する場合は、分割したあとの土地を1画地とするので、分割後の不動産が地積要件を満たしているかどうか、確認が必要なのも注意点です。
また、共有で相続する場合は土地全体の面積で、適用対象かを判断されます。
しかし後に共有の不動産を売買などで分割した場合、経済的に合理性のある分割であれば問題ないのですが、実際は制度の適用をうける目的で共有相続したと判断された場合には、適用を否認される可能性もあります。
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まとめ
不動産の相続に関連する「規模格差補正率」とは何か、要件などを解説しました。
この制度は、前身の「広大地」から明確化された制度ですが、適用要件などがわかりにくい場合は、ぜひ不動産のプロにおたずねください。