2015年の法律改正によって、最近は相続税を課税される人が増えています。
家や土地を所有している場合、先に贈与しておいたほうがいいのかどうか、迷ってしまう方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は不動産の売却を検討している方に向けて、相続と生前贈与はどちらがお得かについて、メリットや費用を比較しながらご説明します。
不動産の生前贈与と相続はどちらが得なの?①メリットを比較してみよう
「相続税を支払うために家を売らなくてはいけない」などの話を、聞いたことがあるかもしれません。
そのため、家や土地は先に譲っておいたほうがよいのではないかと考える方もいらっしゃるでしょう。
生前贈与するメリットは、相続のときにトラブルの発生を防げることです。
家や土地は、現金のようにぴったりと分けられるものではないため、遺産の分割方法で意見が合わないことがしばしば起こります。
ですから前もって譲ってしまえば、問題が起こりにくいですし、譲りたい人に自分できちんと渡すこともできます。
家や土地が相続財産から減るため、相続税を減らせることもメリットです。
ただし贈与税がかかりますから、金額を確認して、支払いができるように準備しておく必要があります。
一方相続のメリットは、財産の総額が基礎控除内であれば、税金がかからずに取得できることです。
もし基礎控除額を超えてしまっても、税の支払いに相続財産を充てられるため、自分でお金を準備しなくてもよい可能性があります。
けれども、先にご説明したようなトラブルの元となることも考えられますから、その点には注意が必要です。
不動産の生前贈与と相続はどちらが得なの?②費用を比較してみよう
生前贈与では贈与税が、相続では相続税がそれぞれかかります。
贈与税は、20歳以上の子や孫への贈与では特例税率が適用されますが、それでも税率が高い印象です。
たとえば3,000万円以下の財産で単純に比較すると、生前贈与は265万円の控除額があるものの、税率は45%もかかります。
一方相続税の場合は、控除額が50万円、税率は15%です。
現金なら、一度に贈与せず何度かに分ける方法で税率を抑えることができますが、不動産は大きな金額になるため、税率も大きくなってしまいます。
けれども、先ほどご説明したようなメリットもありますから、ご自分の場合はどちらの方法を選ぶとよいのか見極めることが大切です。
なお、相続時精算課税制度を利用すると、税額を抑えることができます。
この制度は、2,500万円までは贈与税がかからず、将来相続税を申告するときに加算されるものです。
そのため、金額によっては税金を抑えられ、前もって家や土地を譲って名義変更することもできます。
制度を利用する際は、条件をしっかりと確認しておきましょう。