医療の進歩によって寿命が延びるのに伴い、日本でもますます高齢化が進んでいます。
いつまでも健康でいられたらいいのですが、歳を重ねるごとに病気のリスクも高まるのが現実です。
特に誰にでも起こりうる可能性が高いのが「認知症」。
認知症が進むと、正常な判断ができなくなってしまいます。
もしも不動産の所有者が認知症になってしまった場合、その不動産を売却することは可能なのでしょうか?
そこで今回は、不動産の所有者が認知症になった場合の売却の方法や注意点を解説します。
認知症でも不動産売却は可能!ただし通常の売却方法とは異なる
所有者が認知症になっても、不動産の売却をおこなうこと自体は可能です。
ただし、認知症の度合いが重度で意思能力がないと判断される場合、通常の取引は無効とされるため、異なる手段で売却する必要があります。
認知症と診断された際に売却する方法として「成年後見人制度」があります。
認知症などさまざまな原因で判断能力を失ってしまった人に代わって、代理人が契約を結んだり取り消したりできる制度が成年後見人制度です。
さらに、成年後見人制度の中には「任意後見制度」と「法定後見制度」の2種類があり、代理人の選出方法が異なります。
軽度の認知症であれば任意後見制度を利用して、自身で子どもなどを代理人として指名することが可能ですが、重度の認知症の場合は十分な判断能力がないとみなされるため、「法定後見制度」を利用することになります。
法定後見制度においては代理人を指名することはできず、家庭裁判所が代理人を選出します。
どちらにせよ、成年後見人制度を利用する場合は、家庭裁判に申し立てましょう。
1人で抱えるのは危険!所有者が認知症の場合の不動産売却での注意点
もしも自身が認知症だと診断されてしまった場合、症状が進む前に家族に相談して不動産売却を早めに進めましょう。
軽度の状態であれば、代理人を自分で指名することができます。
また、所有者である両親が認知症だと診断された場合、他の相続人に事前に相談しておくことも大切です。
相続は親族間トラブルが起こりやすいため、他の相続人と状況を共有しておくことが後のトラブル防止につながります。