不動産売却時、売主には守るべき告知義務があり、違反した場合は契約不適合責任により賠償請求をされる恐れがあります。
告知義務とは、売主が把握している瑕疵については契約締結前に包み隠さず買主に伝える義務です。
今回は中でも線引きが難しいとされる心理的瑕疵について、どのような瑕疵なのか、環境的瑕疵との違いや具体的にどのような告知義務があるのかについて解説します。
不動産売却で告知すべき心理的瑕疵とは?環境的瑕疵との違い
不動産売却における心理的瑕疵とは、ひとことで説明すると、買主がその家に住む上で心理的な苦痛を抱く可能性がある瑕疵を指します。
心理的瑕疵物件は一般的には事故物件と呼ばれ、具体的には過去に自殺や事件、事故などの不幸によって人が亡くなっている不動産で、孤独死があった場合も心理的瑕疵物件に該当します。
一方で、瑕疵のひとつである環境的瑕疵との違いは、心理的瑕疵が過去その物件で起きた出来事が原因であるのに対し、環境的瑕疵は現在その物件を取り巻く環境自体に原因があることです。
現在、周囲に暴力団系事務所やゴミ屋敷があるなど、不動産周辺の環境が思わしくない場合は、環境的瑕疵ということになります。
心理的瑕疵や環境的瑕疵だけでなく、瑕疵全般にいえることは、買主がその不動産に住み続ける上で住み心地を悪くする原因となるものが瑕疵にあたるということです。
心理的瑕疵は不動産売却時に告知義務がある!違反した場合は?
他の瑕疵と同様、不動産売却時には心理的瑕疵にも告知義務があります。
過去の事象といってもいつまで遡る必要があるのか難しい問題ですが、具体的な規定はないのが現状です。
過去の判例から見ると、自殺はおよそ7年が目安といった見解もありますが、心理的瑕疵は、買主によっても捉え方が異なるためトラブルに発展しやすい問題でもあります。
全く気にしない人もいれば敏感な人もいるため、今後ガイドラインが明確化されるでしょう。
万が一心理的瑕疵を隠した場合は、契約不適合責任によって契約破棄および損害賠償請求をされる可能性があります。
不動産売却においてマイナス要素になることは間違いありませんが、後々トラブルに発展した時のことを考えると、告知義務を守った方が安全です。